The Curious Story of the 'S' Monogram
フランク・スマイソンにとって、’S'はただのアルファベットの一文字ではありませんでした。モチーフにもなるし、特徴とも言える、そして名刺にも使える。’S'は、DNAともいえるフランクの大切な一部だったのです。また、相反する半円型がつながった’S’は、例えばペンを持って試し書きをするとき自然に出てくる形でもあります。どういうわけか我々の潜在意識の中に深く刻み込まれた形なのかもしれません。ただ、このコレクションのインスピレーションとなったフランクのスケッチにはもっと深い意味があります。’S'というシンプルな文字は、実は130年以上の歴史を持つスマイソンのレガシィをしっかりと結びつける「ロープ」を象徴しているのです。
フランクは大きな志を持った人物でした。銀細工職人をはじめ、デザイナー、起業家などの肩書を連ね、英国はもちろん、大西洋を渡ったアメリカでも頭角を現していきました。そんなフランクのDNAを引き継ぐ商品が散りばめられた2019年秋冬コレクションからは、スマイソンの人物像が浮かび上がります。
フランクがデザインしたシルバーのペンにインスパイアされた‘S’ Monogramモチーフ。新クリエイティブディレクター、ルーク・ゴダディンは、ロープのような質感を表現したデザインに強く惹かれました。そして伝統を現代的に解釈すべく、デザインチームとモチーフの開発に取り組んだ結果、まるでナイルブルーのペーパーに落書きされたような、手書き風の’S'モノグラムモチーフが完成しました。
ジャガードを使った商品開発においては、Smythsonの文字をどれだけ小さく、又はっきりと生地に織り込むことができるかが課題になりました。世界有数のテキスタイルメーカーを採用した結果、満足がいくデザインと高い品質のコットンジャガードを創り上げることに成功。また化学繊維を織り込むことにより、軽量、かつ耐久性に優れた光沢のある素材が出来上がりました。銀細工職人としてのフランクのレガシィがここにも引き継がれる結果となったのです。
プレイフルでスピリチュアル、アイコニックでタイムレス。それがスマイソンのモノグラムです。英国ブランド、スマイソンの多彩な歴史とフランク・スマイソン自身の人柄が、機能性やデザイン性に強く反映されている2019年秋冬コレクション。その一つである’S'字のモノグラムは、今後も色々なスタイルに変化を遂げ、末永く使われていくに違いありません。